第2章 最高の仲間達

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翌日は、耕太にも4月20日に莉乃ちゃんの病室にお見舞いに行く事を伝える。 そして授業が終わると、今日は池袋でビラ配りを予定していたので、急いで池袋に向かう。 池袋の駅前では、昨日一緒に面会に行った3人が既に骨髄バンク登録をお願いする内容のビラを配っていた。 いつも、そんなに減らないビラが、かなり少なくなっている。 理由を聞くと、池女の生徒がビラを持って行った事を聞かされ納得する。 そして、彩香から池女で起こった事を聞いた。 「えっ!それって凄いね。でも費用はどうするの?保険では出来ないって言ってたけど?」 詩音「それは、私が出すわ。それにウチのグループ内病院に任せてあるから大丈夫よ。」 「詩音ちゃんって、お嬢様なんだね。」 彩香「菱沼グループ社長の一人娘よ」 「菱沼グループ?何だっけ?」 彩香「奈緒は、世の中の事何にも分からないんだから、菱沼銀行とか菱沼自動車とかあるでしょ!それら全部が菱沼グループなのよ」 「へえ〜そうなんだ。どうりで同じ様な会社名だと思った。納得したよ。 でもそれだったら大丈夫ね。 良かった。私のお小遣いでは足らないもんね。」 詩音が笑いながら、 「奈緒ちゃんって、面白いわね」 美希ちゃんが慌てて 「言葉使いには気をつけないとダメよ。」 「何で? 詩音は詩音でしょ? 私は親の事は知らないもん。 それではダメ?」 と詩音に聞くと、詩音は笑顔で 「ありがとう奈緒ちゃん。それでいいのよ。 私は私だから。ねっ」 その後もビラ配りを再開する。 そして帰り際に、7月20日に莉乃ちゃんの面会に勝利と耕太を連れて行く事を伝える。 詩音は嫌がっていた莉乃の事を思い微妙な表情だった。 皆んなと別れて家に帰ると詩音から電話が掛かってきた。私は慌てて電話に出る。 「もしもし」 「あっ奈緒ちゃん?」 「うん。どうしたの?莉乃ちゃんの事?」 「うん。莉乃が恥ずかしがってたから、連れて行くのはどうかと思って、電話しちゃった。」 「わたし思ったの。髪が無いのが異常じゃ無ければいいって事に」 「どういう事?」 「勝利も耕太も、髪を剃って面会に行けばいいんだよ。」 「男と女は違うわよ。」 「勿論、私も剃るわよ。そうすれば、それが普通になるでしょ。」 「剃るって?本当に剃るの?」 「うん。剃るよ」 「えっえっ!坊主に?」 「うん。」 「親は大丈夫なの?それにそれで学校行くの?」 「だって、私を見てもらいたい人は勝利だけだもん。他の人は関係ないわよ。 それに、どんな姿だって、私は私なんだから」 「言葉ではそうだけど・・・」 「詩音ちゃん、心配してくれてありがとうね。本当に大丈夫よ。だって私野球部のマネージャーだから」 「それは関係ないと思うよ。」 「そうだよね」
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