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第2章 最高の仲間達
(奈緒)
入学式も終わり、少しグラウンドにいる勝利と耕太を少し見て絢香と待ち合わせしている御茶ノ水駅に向かった。
駅の改札口で待っていると、彩香の声が聞こえた。
「奈緒!」
声のする方を向くと
あれ?
3人?
よく見ると美希ちゃんの他に、莉乃ちゃんを探しに行った時に、莉乃ちゃんを呼んでくるように指示した女の子が一緒にいた。
3人が近づくと、挨拶をしてから、自己紹介をした。
あの妙に権力がありそうな女の子の名前は菱沼詩音。
詩音ちゃんと呼んで欲しかったみたいなので、詩音ちゃんと呼ぶ事にした。
そして莉乃ちゃんの面会に行くと、抗癌剤の副作用で身体中の毛が抜け落ちた莉乃ちゃんの姿を見る。
本人は大丈夫そうに振舞っていたが、毛が抜け落ちる程の薬を使用しているのだから、大丈夫な筈が無い。
笑顔も無理矢理作っていたが、無理に作る笑顔は余計に痛々しく感じた。
本人は勝利との面会を、毛が無い姿を見せるのを嫌がっていたが・・・・
両親から骨髄型が合わず、バンク登録者とも合わなかった事を明かされ、抗癌剤治療に全てが掛かっている事を本人も知っていると言う。
莉乃ちゃんの事は任せてと言っておきながら、何もできない自分がもどかしく、そして情けない。
どうしたら・・・
そんな両親の言葉を聞いても、詩音は諦めない。
絶対に莉乃を助けるの一点張りだ。
両親との話を終えて、病院の外で詩音の莉乃に対する愛情を知った。
少し意味合いが違うが、届かない愛という事では、私と同じだった。
この日は、ここで別れる。
家に帰り、今日の事を勝利に伝えるため電話をかけた。
勝利はすぐに電話に出た
「勝利?」
「俺に電話したんだから、当たり前だろ」
相変わらずいつもの勝利の返事が返ってくる。
「莉乃ちゃんの事何だけど、骨髄が両親ともバンク登録者とも合わなかった。」
「えっ!じゃあ莉乃は?」
「抗癌剤で治すしか手立てが無いみたいなの」
「そんな〜。莉乃の様子は?」
「無理に笑顔を作ってたけど、かなり苦しいと思うわ。抗癌剤の副作用で毛も抜け落ちちゃってる。」
「俺も面会に行きたい!」
「それがダメなの。毛が無い姿を勝利に見せたく無いみたいなの。」
「えっ毛なんて有ったって無くたって関係ないじゃん。」
「本当に、勝利は乙女心が分からないわよね!好きな人には恥ずかしい姿を見られたく無いのよ。」
「でも、会えない方が、もっと嫌だよ・・・」
「まったく、子供みたいな事区を言わないで・・・でも分かるわ。私も大事な人がそうなったら、自分の髪の毛を剃ってでも行くだろうから」
!
そっか、髪の毛が無い方が、普通ならいいんだ。
「ねえ、勝利。次の野球部の休みっていつ?」
「確か、4月20日の日曜日が、グラウンドが使えないから午後から休みだと思う。」
「そっか、じゃあ耕太も連れて、一緒に行こうよ」
「大丈夫なのか?」
「うん。莉乃ちゃんは、勝利に匹敵する人だから」
「何言ってるんだ?」
「何でも無いわよ」
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