第二章 激戦

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彩は一人で新選組屯所に向かう。 門番に安倍与作ですと告げると、剣術の稽古をしている沖田が彩を見付けた。 「安倍さん、お久しぶりです」 笑顔で額の汗を手拭いで吹きながら寄ってきた。 この前、斬られた恨みが有るが、私も笑顔で挨拶した。 「沖田さん、あやかしを斬ったそうですね」 沖田は頭を掻きながら言った。 「いや、殺すつもりはなかったので本気では斬りませんでした、しかし逃げられてしまいました」 ハハハと笑った。 そうなんだ、確かに沖田なら一撃で私を倒せたはずだ、危なかった。 「今日は、何かご用ですか」 「はい、近藤局長様にお会いしたいです、お話が有ります」 「局長なら、在宅です、ご案内しましょう」 屯所の奥の局長の居間に案内された。 土方も居た。 「近藤局長殿、土方殿、お久しぶりです」 二人は会釈した。 「安倍さん、今日は何用ですかな」 近藤局長は笑顔だ。 「はい、実はお願いしたい事が有ります」 私は近藤局長があやかしの結界を破って、安倍晴明が閉じ込めた、あやかしが京に散ったこと、本拠地は伏見城跡だと説明した。 土方が私を睨みながら言った。 「それで、何をしろと」 私は汗が出るほど緊張した。 「はい、私たち四人では少なすぎます、あやかしは二百は下りません」 「そのような事に隊士は出せん、今は一人でも減らしたくはない」 局長が口を開いた。 「歳さん、良いではないか、ここは沖田の一番隊をだそう」 沖田も頷いた。 「ありがとうございます、一番隊の方は何人ですか」 「10人です」 沖田は即答した。 たった10人かぁー。 私は落ち込んだ。 私は沖田さんと、一番隊を連れて伏見に向かう。 途中、伏見稲荷前で、十藏と五助さん、与作さんと合流した。 「合わせて15人です」 と私が報告すると。 与作さんは笑顔で答えた。 「伏見稲荷の巫女に、頼んだら稲荷警護の狐侍を貸してくれた」 「狐侍ですか?」 「そうだ、最強の狐侍50人だ」 「それなら、何とかなりそうですね」 普通の侍姿の狐侍達を従えて伏見に向かう。 御香宮の境内で腹ごしらえや戦闘準備をして夜を待つことにした。 「五助さんには、嫁さんがいる、外れても良いですよ」 「いや、おみよは一膳飯屋を始めました、私が死んでも大丈夫です」 「そうなんですね」 五助さんの性格なら、そうだろうな。 そして辺りは薄暗くなり、私たちは用意した松明に火をつけた。 伏見城跡は、すぐそこだ。 私は腰に差した菊一文字の鞘を握りしめた。
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