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錦小路の薩摩藩邸に、やっとたどりついた。
門の前には十藏が待っていた。
「彩殿、五助さんは」
「うん、他の医師に預けてきた心配は無い」
「そうなんですね、良かった」
「私は五助の嫁の、おみよに報せに行く」
「はい、実は」
「何か有りましたか」
「坂本龍馬さんが近江屋で暗殺されました、藩邸は大騒ぎです」
「何ですって」
「ですから今は藩邸に入れません」
「わかりました、また何か有りましたら使いを出します」
「はい、申し訳有りません」
仕方なく、おみよの店に行く事にした。
三条通りと聞いていたが、歩くうちに見つけた。
一膳飯屋五助と書いてある看板が有った。
夜半だから店は閉まっている。
戸を叩くと声が聞こえた。
「どなたですか」
おみよの声だ。
「彩です」
「お入りください」
中で五助は怪我をして、しばらくは帰らないと告げた。
「わかりました、それまで二階の部屋をお使いください」
「良いのか、ありがとう」
「そちらの方は」
「シュミーと申します、妹でございます」
「趣味の趣味さんですか」
「まあ、そうですね」
シュミーはインドの名前かなと思った。
二階に上がり、障子戸を開けた。
「シュミー、玉藻前の動きを探れるか」
「お任せ下さい」
シュミーは金剛杵に変わり外に飛び出した。
翌朝に戻って来た。
「奴は、伏見奉行所にいます、同心に化けたようです」
「わかった、ありがとう」
それから十藏には会えないし、五助も戻らないし、打つ手も無いまま過ごしていたが、新選組探索方の山崎と言う人が訪ねて来た。
私は二階に案内した。
「何か有りましたか」
「はい、9日に王政復古が、あり幕府は朝廷に政権を返上しました、新選組は伏見奉行所に移りましたが、近藤局長は墨染で狙撃されて重症です、間もなく薩摩や長州との戦いが始まります」
「そうなんですね」
「はい、沖田さんや近藤局長は大阪に移されました」
「そ、そうなんですね」
「はい、正月にも戦いは始まるかもしれません、沖田さんが、あやかし退治には力になれずにすまないと沖田さんが申されました」
「わかりました、お知らせありがとうございます」
山崎さんは去った。
「シュミー聞いたか」
「はい、どうされますか」
「戦いになる前に玉藻前は大阪に逃げ出すだろう、そこを待ち伏せする」
「わかりました」
「では、寺田屋に泊まり見張る」
私はシュミーを連れて寺田屋に向かい歩き出した。
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