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河原に降りると、玉藻前は、すぐに九尾の狐になった。
「行くぞ」
いきなり脇差しを投げてきた。
私が避けて、刀を抜こうとしたが刀が抜けない。
背後から誰かに羽交い締めにされた。
(ゾンビみたいな奴だ)
「式神か」
玉藻前は、彩に近付き腰の菊一文字を抜いた。
細く美しい刀身がキラリと光る。
その時…
「うわあ」
玉藻前は叫ぶなり刀を落とした。
「やはり菊一文字には、お前を殺す力が有るようだな」
「くっ」
彩は、すぐに雪女に変わり、背後の奴を冷凍波で凍らせた。
あやかしは凍りつき後ろに倒れて粉々に散った。
すぐに菊一文字を拾う。
私は冷凍波を出した。
玉藻前は避けたが大切な九尾が凍りついた。
「くそっ」
その時、川から何かが飛び出して襲ってきた。
ナマズに手足が生えている。
私が菊一文字で袈裟斬りにして倒す。
その隙に玉藻前が、与作に変身して、お札を取り出した。
お札からはつる草が、無数に飛び出した。
それも凍らせた。
菊一文字を当てるとバラバラに散った。
「かまいたち」
与作が叫ぶと、イタチのようなあやかしが宙に現れた。
小さな竜巻を起こして、私に向けて投げた。
竜巻は触れると切れる。
私の肩から血が出た。
吹雪を叩きつけるが、竜巻には効かない。
いくつも小さな竜巻を私に向けて投げてきた。
与作が逃げようと反転した。
私は与作に蛇玉を投げつけた。
大蛇に体を巻かれたように動けなくなり倒れた。
宙にいた、かまいたちが下に落ちてきた。
矢が刺さっている。
「五助」
「また、親の命令に背きました」
「ありがとう、来てくれたのか」
「はい、金剛杵が知らせてくれましたから」
そばにはシュミーが立っていた。
「シュミーありがとう」
「えへっ」
「彩さん、こいつをどうしますか」
「こうする」
私は菊一文字を振り下ろした。
玉藻前の九本の尻尾は粉々になった。
「さあ行け、この国から去れ」
「覚えておれ」
蛇玉を取ると玉藻前は。
「コーン」
と哭いて狐の姿になり走り去った。
「彩さん、これからどうしますか」
「私は、残ったあやかし退治を、請け負う仕事をするかな」
「私も、お手伝いします」
五助が私の手を取る。
「私も」
シュミーも私の手を取ってきた。
「では、三人で、あやかし退治だ」
鴨川に雪が、ちらついて来た。
あやかしの親玉は他にも居ると感じたからだ。
私たちは、五助の店に向かう。
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