第二章 激戦

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河原に降りると、玉藻前は、すぐに九尾の狐になった。 「行くぞ」 いきなり脇差しを投げてきた。 私が避けて、刀を抜こうとしたが刀が抜けない。 背後から誰かに羽交い締めにされた。 (ゾンビみたいな奴だ) 「式神か」 玉藻前は、彩に近付き腰の菊一文字を抜いた。 細く美しい刀身がキラリと光る。 その時… 「うわあ」 玉藻前は叫ぶなり刀を落とした。 「やはり菊一文字には、お前を殺す力が有るようだな」 「くっ」 彩は、すぐに雪女に変わり、背後の奴を冷凍波で凍らせた。 あやかしは凍りつき後ろに倒れて粉々に散った。 すぐに菊一文字を拾う。 私は冷凍波を出した。 玉藻前は避けたが大切な九尾が凍りついた。 「くそっ」 その時、川から何かが飛び出して襲ってきた。 ナマズに手足が生えている。 私が菊一文字で袈裟斬りにして倒す。 その隙に玉藻前が、与作に変身して、お札を取り出した。 お札からはつる草が、無数に飛び出した。 それも凍らせた。 菊一文字を当てるとバラバラに散った。 「かまいたち」 与作が叫ぶと、イタチのようなあやかしが宙に現れた。 小さな竜巻を起こして、私に向けて投げた。 竜巻は触れると切れる。 私の肩から血が出た。 吹雪を叩きつけるが、竜巻には効かない。 いくつも小さな竜巻を私に向けて投げてきた。 与作が逃げようと反転した。 私は与作に蛇玉を投げつけた。 大蛇に体を巻かれたように動けなくなり倒れた。 宙にいた、かまいたちが下に落ちてきた。 矢が刺さっている。 「五助」 「また、親の命令に背きました」 「ありがとう、来てくれたのか」 「はい、金剛杵が知らせてくれましたから」 そばにはシュミーが立っていた。 「シュミーありがとう」 「えへっ」 「彩さん、こいつをどうしますか」 「こうする」 私は菊一文字を振り下ろした。 玉藻前の九本の尻尾は粉々になった。 「さあ行け、この国から去れ」 「覚えておれ」 蛇玉を取ると玉藻前は。 「コーン」 と哭いて狐の姿になり走り去った。 「彩さん、これからどうしますか」 「私は、残ったあやかし退治を、請け負う仕事をするかな」 「私も、お手伝いします」 五助が私の手を取る。 「私も」 シュミーも私の手を取ってきた。 「では、三人で、あやかし退治だ」 鴨川に雪が、ちらついて来た。 あやかしの親玉は他にも居ると感じたからだ。 私たちは、五助の店に向かう。
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