一章 雪女

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ナダは、それから吹雪の作り方、周りを氷に変える方法、空を飛ぶ方法を教えてくれた。 「次は一番大事な事を教える、人間から生気を吸う方法」 「何ですか、生気を吸う?」 「そうだ、我々雪女は一年に一度人間の生気を吸わないと力が尽きてしまう」 「えっ、吸うと人間は死ぬのですか?」 「いや、それは吸い方を調整すれば死なない」 「そうなんですね」 「うん、つまりは口を付けて生気を吸う」 雪女は空を見ていたが、彩の方を見て言った。 「近くに男が山中を歩いている、先ずは彩が試すが良い」 「キスなんてしたことは無いので、それにファーストキスは嫌」 「バカ、ならば力が尽きて死ぬぞ、命令だやれ」 ナダは恐ろしい形相になった。 「まあ、好きにしな、あとは人間の女に化ける方法を授ける」 ナダは、スラスラとやり方を説明した。 「人間の女になった時は子を産める、しかし人間の子にしかならぬ」 「子供は。まだ産みません」 「勝手にしろ、雪女としての心得はすべて話した、ではサラバだ」 「あっ、待ってください、ナダ様を呼ぶ方法は有りますか?」 「有る、この呪文を唱えたら私は来る」 「はい、覚えます、どんな呪文ですか」 「ミンタカキイタカ」 「えっ?」 「ミンタカキイタカじゃ」 そして姿を消した。 「あー、心細い、私に雪女出来るかしら」 彩は座り込んだ。 気がつけば、凄くお腹が空いている。 精神を集中すれば、確かに山中を歩く男が居るのを感じた。 先ずは宙に飛び、その男の居る場所に向かう。
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