第四章 異国の魔物

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若侍姿になった彩は五助の一膳飯屋に行く。 しかし空き家になっていた。 よろず相談処も中は空だ。 (みんな、何処に行ったのか) 外に出ようとすると、部屋の真ん中に竹の水筒が在った。 手に取ろうとすると、水筒から手と足が、にゅっと出た。 水筒の蓋が開き小さな顔が出た。 「お初にお目にかかります、木偶の棒と申します」 「はあ?」 「木偶の棒(でくのぼう)で、ございます」 「何用だ」 「沖田さまが出る前に私を式神にされました、ほら裏にお札が貼って有るでしょ」 裏を見ると、確かに札が貼ってある、。 「皆さんは江戸に向かわれました、朝に出立されました」 「ありがとう」 「ほな、さいなら」 水筒から、お札が剥がれて外に飛び出した。 すると水筒の手足が引っ込み蓋も閉まった。 コロン ―と転がった。 彩は、皆のあとを追うことにした、江戸に向かう。 空は夕焼けになっていた。 間もなく日が暮れそうだ。
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