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若侍姿になった彩は五助の一膳飯屋に行く。
しかし空き家になっていた。
よろず相談処も中は空だ。
(みんな、何処に行ったのか)
外に出ようとすると、部屋の真ん中に竹の水筒が在った。
手に取ろうとすると、水筒から手と足が、にゅっと出た。
水筒の蓋が開き小さな顔が出た。
「お初にお目にかかります、木偶の棒と申します」
「はあ?」
「木偶の棒(でくのぼう)で、ございます」
「何用だ」
「沖田さまが出る前に私を式神にされました、ほら裏にお札が貼って有るでしょ」
裏を見ると、確かに札が貼ってある、。
「皆さんは江戸に向かわれました、朝に出立されました」
「ありがとう」
「ほな、さいなら」
水筒から、お札が剥がれて外に飛び出した。
すると水筒の手足が引っ込み蓋も閉まった。
コロン
―と転がった。
彩は、皆のあとを追うことにした、江戸に向かう。
空は夕焼けになっていた。
間もなく日が暮れそうだ。
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