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「これから七化けの術を教えるが、授業料として二十両用意せよ」
「葛の葉様、私の持ち金が二十両とわかるのですね」
「ふふふ」
(痛い、持ち金全部無くなった)
彩は二十両を渡した。
「良いか、まずは私の作った、お札を頭のてっぺんに張り付けるのじゃ」
彩は、もらったお札を頭のてっぺんに張り付ける。
「次に手で、この印を結び呪文を唱える」
「はい」
「きすんどうねつきはしたわ」
「あれっ、逆に読むと、私はキツネうどん好き、になりません?」
「うるさい、素直にやれ、頭の中で化けたい相手を念じる」
最初は出来なかったが、少しずつ顔は変化するようになって来る。
三日目に、やっと七化けの術を身につけた。
「よくやったな彩、ご褒美にこの刀を授ける」
彩は刀を受け取った。
「ありがとうございます」
「刀の銘は九字と言う、熊野の行者が龍の滝から採取した砂鉄で打ったからか、物凄い霊力が有る」
「そんな大切な刀を」
「しかし、持ち主を選ぶ、嫌いな持ち主なら、勝手に鞘に戻るか、自ら斬りかかる恐ろしい刀だ、後から試すが良い、さらに誰にも効かないが、刀を見た人間は丸々一日くらいは刀に操られてしまう」
葛の葉は神社に戻って行った。
茶屋の裏で刀を抜く。
「あっ、バカ野郎、抜きやがったな、気持ちよく寝ていたのに」
刀は勝手に鞘に戻る。
彩は、また刀を抜いた。
「この野郎、俺を怒らせたな」
「刀は彩を目掛けて突っ込んできた」
さっと左に転び避けた。
すぐに雪女に変身した。
白い着物に、長い髪。
「受けてみよ、冷凍波」
冷凍波を刀に向かい飛ばす。
すぐに刀身が凍り付いた。
ゴトリ
刀は地面に落ちた。
「うわあ動けないし、寒いよぅ」
刀は泣き出した。
「それでは私の刀になるか」
「わかった、あんたの刀になるから、氷を取ってくれ」
刀にかけた術を解くと、刀身の氷が解けた。
「ご主人様、今までの無礼をお許しください」
「わかれば良いさ」
彩は刀を鞘に納めた。
「さあ、若い浪人に化けて泰屋に行こう」
彩は、よろず相談処に寄り、沖田に日月護身剣を預かってもらった。
「今から泰屋に潜入します」
「わかった、気をつけてください」
「はい、心得ました」
彩は泰屋に向かう。
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