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「すみません! 遅れちゃいました」 車の助手席から髭面の若い男が降りてきた。 闇に慣れてきた俊哉の方に近づいてくるその男は痩せて背の高い学生風の男だった。髪はちぢれた長髪である。顔はまだよく見えないがTシャツに白いチノパンを履いている。 「どうも、俺は鷹野っていいます。後藤君の大学の後輩です」 男はそういいながら一礼した。  続いて運転席と後部座席から人が降りてきた。運転席にいたのは小太りで背の低い男性だった。眼鏡をかけたオタク風である。後部座席からは髪の長い若い女性が降りてきた。 「はじめまして、このオフ会を主催している武藤です」  小太りの男がにやにやしながら俊哉に右手を差し出した。汗ばんだてのひらは、どこかしら脂ぎっている。俊哉が苦手なタイプだ。
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