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「うん、まあそうだな。じゃ皆さん、「首吊りさん」の下で座りましょう」 武藤のその言葉に俊哉が反応した。 「えっと、あの…「首吊りさん」というのは……?」 「ああ、「首吊りさん」っていうのは、あの大きな樹のあだ名ですよ。僕たちが調べただけでもこれまでに4人のひとたちが、この樹で首を吊っています」 武藤はひょうひょうと答えた。俊哉は一瞬驚いたが平静を装った。 「相模さん、心配しなくても大丈夫ですよ。われわれはこれまでにも「首吊りさん」の下で何回かオフ会やってますから。ははは、これまでに出たことはありませんよ」  出たことはない……という言葉はもちろん自殺者の幽霊が出たことはない、という意味なのだろう。あくまでもひょうひょうと語る武藤の言葉を俊哉はそう解釈した。 「もしかして相模さん、見える人なんですか?」 そう訊いてきたのは美少女野口だった。 「いえいえ、そんな見えるなんてことはまったくないですよ」 俊哉は右手を振って少しオーバーに否定してみせた。
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