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そもそもどういう店に行くのがいいのだろうか。まずは軽くカフェか、それとも居酒屋か。恋人はおろか友達もいない。非リア充のポテンシャルを遺憾なく発揮し、俺はただ繁華街をさ迷う存在と成り果てている。
「あの……」
見かねた様子でフィリルが切り出した。
「僕、スライさんと会う前に、このあたりの店のこと色々と調べてきたんですよ」
遠慮がちに彼は続ける。
「よければ……ほんとによければなんですけど、調べてみた店に行ってみませんか?」
「あ……そう……なんですか。それはわざわざ……」
「ごめんなさい! 出過ぎた真似だとは思ったんですけど」
「いや! いやいや! すごく……ありがたいです!」
本当にそう思った。
「俺、店とかなんにも知らないから、どうしようかと思って……」
「僕も、そんなに知ってるほうじゃないんですけど、せっかくスライさんと会うんだから、いいお店に行きたいと思って」
「あ……」
フィリルだ。
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