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この気遣いと、控えめで、でも陰ながら支えてくれるやさしさ。
いつも、『ミラージュ』で会っていた、フィリルだ。
そうだな。俺はフィリルのなにを好きになったんだろうか。
見た目か? ……ううん、見た目もそうかもしれないが、その中身なんじゃないか?
たしかに、金髪碧眼のあのキャラは俺のどストライクだったが、それを操作していたのは、その中の人格は、まぎれもなくこの目の前にいる彼なのだ。
「行きたいです。フィリルさんが探してくれたその店、行ってみたい」
俺はそう答えた。
「ほんとですか? やったぁ!」
フィリルの顔がぱっと明るくなる。笑うと頬に線が入るんだな。
あれ? なんだかこのフィリルがかわいく見えてきた。
フィリルの調べてくれた店は、気取らない感じのイタリアンの店で、こういった店に入り慣れていない俺でもなんとか入れるレベルの店だった。
しかし会食初心者の俺は、またメニュー決めという最初のステップで躓いていた。
「なに頼みましょう?」
「どうしましょうね……」
二人してこの有り様である。
「スライさん、いつもみたいに、決めてください」
フィリルに言われて、ハッとなった。
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