君想いし文花

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 望月君へ  七月に入り、暑い気候が迫ってきたが体調は変わりないかい?  君は手紙の返事を出すのが遅くなってしまうことをすまなく思っているようだが、気を病む必要はない。君は君の生活があるし、僕には僕の生活がある。それに退学してしまった僕の分まで、君には学校生活を満喫してもらえればと思う。  君は僕が治ったら、学校に戻ってくれば良いと言うだろう。僕もできればそうしたいと思っている。だから嫌々ながらも、効果があるか分からない摩擦や運動を決められた時間にこなしているのだ。  そんな僕は味気ない生活の中で、君と過ごした時間を思い出すことはある。  例えば僕が授業をサボタージュしようと言って君の腕を引いた時。最初こそ授業に出たいと言って君は怒っていた。だが、いざ一緒に草の上に寝転んだら真っ先に君が寝てしまったのは、今思い出しても笑ってしまう。  この間の運動の時間に、そんな君の間抜けな姿を思い出して思わず吹き出したら、看護婦に驚いた顔をされてしまった。いつもはむすっとしている僕が笑みを浮かべるなんて珍しかったんだろうね。何故かそれ以来、看護婦がやたらと僕に構うようになった。
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