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「じゃあ、俺達はこれで帰るから」
「お世話になりました」
「将悟、具体的に決まったらすぐに連絡しろよ」
「分かってる」
帰る日の朝、玄関先で将悟さんがお義兄さんと話をしていると、お義父さんが私の傍にやってきた。
「琴音さん」
「はい」
「こんな田舎で疲れたんじゃないかい」
「そんなことないですよ」
「そうかい。それならいいんだが……気疲れしたんじゃないかと思ってな」
「皆さんとても気さくで優しくて、楽しかったです」
「それなら良かった。……琴音さん、将悟のことよろしく頼んだよ。あいつは体はデカいが弱い部分がある。支えてやってくれ」
「……はい」
滞在中にお義父さんと話をすることはあまりなかったけど、気にかけてくれてたんだな。将悟さんの優しい所は、お義父さん譲りなのかもしれない。支えてやってくれという言葉に、すごく温かい気持ちになった。
「琴音、そろそろ行くぞ」
「はい」
「琴音さん、また帰っておいでね」
「……はい。ありがとうございました」
当たり前のように帰っておいでと言ってくれるのがすごく嬉しい。
少しづつ遠ざかっていく中、見えなくなるまでずっと笑顔で見送ってくれる、近い将来家族になる人達。その日が来るのを楽しみにしながら、私と将悟さんは帰宅した。
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