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3話
質問の真意は分からないまま、気付いたらバスが旅館へと着いていた。
多分、あんまり深い意味なんてないよね。今が社員旅行だからプライベートな事をちょっと聞いてみただけだと思うし、課長が私に何か意味があってそういうこと聞くなんてあり得ない。考えるだけ無駄だし止めよう。
頭の中を切り替えて、旅館に入っていく人波の後に付いていく。私は鳴海さん達と同じ部屋。3人で部屋に入ると、そこはよくある和室だった。
「わ~。旅館に来たって感じですね!」
「本当に。和室ってのんびり出来ていいわよね」
「分かります。落ち着きますよね」
実家にいるような安心感を覚えて、荷物を整理した後に用意されていたお茶請けのお菓子を食べながら3人で談笑する。
「夕食の宴会までは自由時間なんですよね」
「そうよ。確か18時に大広間に集合だったかな」
「まだ15時ですよー。あ、お風呂にでも入りに行きます?」
ここの温泉、美肌効果があるって言ってたっけ。ちょっと楽しみにしてたんだよね。
「いいかもしれない。先に入っちゃおうか」
「そうですね。行きましょう」
温泉に入る準備をして3人で女湯へ向かうと、皆同じ事を考えたのか先客が沢山いる。美肌効果があるなんて言われたら、そりゃ女性なら入りたくなるよね。
それに、今日は社員旅行。私は今回の参加が初めてだけど、この旅行をきっかけに交際し始める社員も多いって聞いてるから、宴会前にちょっとでも綺麗な姿でいたいというのが女心なんだろうな。
それにしても、この旅行がきっかけってことは、やっぱり職場とは違う姿を見るからギャップにやられるのかな?
「というよりも、元々好きだった人にこの旅行でアプローチする人が多いみたいよ」
七瀬先輩の言葉に、なるほどと頷く。となると、ジンクス的なものに肖りたいって感じなのかな。まあ、私には関係ないけど。
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