4話

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4話

課長が私を好き……? 「冗談、ですよね……?」 「俺がそういう冗談好きじゃないの、お前なら知ってるだろ」 そうだった。課長は、そういう人の気持ちを弄ぶような冗談をすごく嫌う人だ。いつだったか、エイプリルフールにそういう事を言って回っていた社員を怒っていたことがある。 「……何で私なんですか?」 「お前の事は前からいいなと思ってた。でも、好きだと自覚したのは今日だ」 「今日?」 「バスでも言っただろ。普段と違うお前を見て緊張してるって。急にお前を女だと意識した。俺と窓越しに目が合っただけで真っ赤になったお前を、堪らなく可愛いと思った」 あの時と同じ優しい笑顔で見つめられる。その瞳は、愛しいと言ってくれている気もする。……だけど。 「私は……」 「返事は急がない。お前の気持ちが追い付いてないのは分かってるから。これから考えて答えてくれればいい。でもな」 課長の顔が急接近して、思わず仰け反りそうになる。 「かちょっ……」 「お前の事逃がすつもりはないし、俺なしじゃいられないぐらい愛してやる」 耳元で囁かれた声はいつもより低くて、どこか色っぽさを感じる。真っ赤になった私を見て、課長は嬉しそうに笑うだけだった。
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