2話

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お昼ご飯を食べ終えて外に出ると、バスの出発までまだ時間があるみたいで、煙草を吸ったり各々の過ごし方をしている社員が多い。 「私ちょっとお手洗いに行ってくるわ」 「あ、私も行きます! 松嶋先輩は?」 「私は大丈夫。二人で行ってきて」 2人を見送ってからバスに乗り込む。まだ誰も戻ってきていなくて一人きり。手持無沙汰で窓からボーッと外を眺めていると、誰かが乗り込んできた気配がする。目線を入り口に向けると、そこに居るのは課長だった。気まずさに、軽く会釈だけして視線を逸らす。 「……怒ってるのか?」 「え……?」 困ったような課長の表情を見て、こっちが動揺してしまう。 さっきは確かにちょっとムッとしたんだけど、今はただ気まずいだけ。 「課長に揶揄われてると思ったので……」 「やっぱりそういうことか。……笑って悪かった。でも別に揶揄ったわけじゃない」 「じゃあ何で笑って……」 「お前が可愛くて思わずな」 「っ……!」 可愛い……?! 「やっぱり揶揄ってますよね……!?」 「だから揶揄ってない。本気で言ってる」 「へ……?」 「松嶋は、今恋人いるのか?」 「いません、けど……?」 「そうか」 課長が何か考えるように黙り込んでいる。 今の質問の意味は何なんだろう……?課長の横顔を見つめながら、心臓が早鐘を打ち始めていた。
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