14人が本棚に入れています
本棚に追加
「ぶ、文芸同好会に入ってくれるの!? よかった~ 今年部員が入らなければ廃部だったのよ。ちょっと待ってて」
石田先生は手早く机にあった書類をしまうと、メガネをきらりと光らせた。
「じゃあ、部室に案内するわね!」
文芸同好会の部室は、図書室の隣にあった。部屋自体は教室の半分ほどの広さで、備品も置かれているから準備室という感じだけど、先生がまめに掃除をしているのか、部屋は片付いていてゴミや汚れも見当たらない。
一緒についてきてくれたミノリも、部室を楽しそうに見渡し、やがて部屋の隅にあるパソコンに近づいた。
「先生、これも同好会の持ち物ですか?」
「ええ、かつて先輩の中にコンテストに応募した人たちがいてね…その賞金と部費で買ったものなの」
「ということは入選したってことですよね、凄い!」
私もその話に舌を巻くばかりだった。私も小説サイトはいくつかチェックしているけど、どの場所もコンテストを開けば百以上の作品が集まる。何十という作品を送り出したのに、かすりもしない。そんな話はいくらでも聞いた。
ミノリは目をキラキラさせながら先生を見た。
「ねえ先生、使ってもいい?」
「いいけど、この中には先輩の作品も多く残ってるから…」
「わかってます、消しません、消しませんとも!」
最初のコメントを投稿しよう!