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「見学が終わったら鍵を届けに来てね」
『はい』
石田先生は、鍵を私に預けると部屋を後にした。私は部室を改めて見渡した。
図書室の備品に交じって、本棚が1つ申し訳なさそうに立っている。その中には大小様々な本が置いてあり、タイトルを見ると興味をそそられるものが幾つも目に飛び込んできた。
海外のマナーが記された辞典に、自衛隊の最新装備、海外の人の名前と由来、幻獣や悪魔の辞典、黒魔術の本、中世ヨーロッパの衣食住、江戸庶民の生活、独裁国家の旅行記…執筆する人間にとって、どれも役立ちそうな本ばかり。
『これほどの本たちに囲まれれば…入選だってできるかもしれない』
パソコンに向かっていたみのりも、食い入るように画面を眺めていた。
「これ…本当に、あたしたちと同じ中学生の文章なの!?」
隣から画面をのぞき込むと、そこには整然とした文章が並んでいる。ミノリのいう通り中学生が書いたとは思えない。
『凄い語彙力…これが文芸部の力なんだね』
ミノリは視線だけを私に向けてきた。
「よ、よく考えたら…ここにもモンスターがいた~」
『それ、どういう意味!?』
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