第1章 44ブレスレット

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 急いで家を出ると、幼馴染のミノリが立っていた。  西部中の制服に身を包み、黒光りする真新しい鞄を持っている。彼女も私も今月で中学生になったばかり。 「おはよ、祐奈!」 『ごめん…待った?』  風が吹くと、私とミノリの髪や制服が揺れた。ミノリはショートヘアーだから少し髪がなびくくらいだけど、私の髪は悪戯をされたかのように巻き上げられた。ミノリは唇を尖らせて言う。 「全くスカートってのは夏は動きづらいし冬は寒いし…ズボンの方がいいな」  ミノリは恨めしそうに自分の足元を眺めていた。そういえば小学生の時の服装は自由だったから、彼女はいつもズボンやジーンズを着ていた。スラリと背の高いミノリには、その姿が一番合っているように感じる。  2人並んで歩くと、その身長差がしっかりと現れた。私は157センチメートル。ミノリは165センチメートル。話によるとミノリはまだ背が伸びているのだという。正直、羨ましいな。  ミノリの瞳が私を映した。 「ところで、書けた?」  私はドキッとしてミノリを見た。彼女は主語を抜いて会話を振ることがある。
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