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急いで家を出ると、幼馴染のミノリが立っていた。
西部中の制服に身を包み、黒光りする真新しい鞄を持っている。彼女も私も今月で中学生になったばかり。
「おはよ、祐奈!」
『ごめん…待った?』
風が吹くと、私とミノリの髪や制服が揺れた。ミノリはショートヘアーだから少し髪がなびくくらいだけど、私の髪は悪戯をされたかのように巻き上げられた。ミノリは唇を尖らせて言う。
「全くスカートってのは夏は動きづらいし冬は寒いし…ズボンの方がいいな」
ミノリは恨めしそうに自分の足元を眺めていた。そういえば小学生の時の服装は自由だったから、彼女はいつもズボンやジーンズを着ていた。スラリと背の高いミノリには、その姿が一番合っているように感じる。
2人並んで歩くと、その身長差がしっかりと現れた。私は157センチメートル。ミノリは165センチメートル。話によるとミノリはまだ背が伸びているのだという。正直、羨ましいな。
ミノリの瞳が私を映した。
「ところで、書けた?」
私はドキッとしてミノリを見た。彼女は主語を抜いて会話を振ることがある。
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