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これは聞いてもいいのかな。少し悩んだけど、思い切って聞いてみることにした。
『ところでミノリ』
「なあに?」
『ビーストコロッセオの小説、あったよね…あれ、全部読み終わったの?』
ミノリは少し沈黙した。言葉を呑み込んだようにも感じる。
「うん、実はね…途中であの小説終わってたんだ」
私は納得した。確かに小説サイトなんかにもたくさんの小説があるけど、忙しい人も多いみたいで、途中で休載となってしまっているものも珍しくない。
『みんな忙しいもんね』
「うん、でも…途中で終わって、よかったかもしれない」
『え…?』
私は意外に思ってミノリを見た。彼女は中途半端なことが嫌いな性格。こんなことを言うなんてらしくないと思う。
私が目を丸々と見開いているせいか、ミノリは笑いながら言った。
「さあ、帰ろう…祐奈にも小説…書いてもらわないと!」
ミノリはそう言いながら私のカバンに目をやった。この中には図書室から借りてきた本が入っている。
少しずつ読んでいけば、小説のヒントになるかもしれない。
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