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『え? なにを??』
「とぼけないでよ~ しょ・う・せ・つ!」
ミノリはニコニコしながら私の肩をつついた。そういえば先日、小説の話をしてしまったのだった。まさか覚えているとは…
『今、書いてる途中なんだ』
「ふーん」
ミノリのぱっちりした瞳が三角形になった。口元がニヤニヤ笑いを浮かべている。これは私をからかおうとしている時の顔。
「できたら一番に見せてよ」
勘弁してよ。筆が止まっているんだからさ。
私は振り払うように目の前を見た。ここは裏通りなので車はほとんど通らないけれど、たまに一時停止を無視して入って来るドライバーもいる。
2人でゆっくりと曲がり角をまがろうとした時、ミラーに黒い影が映った。よく見れば自転車だ。
声も聞こえてきた。
「おらっ、飛ばせモー太!」
「勘弁してよー!」
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