第1章 44ブレスレット

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 私は、東京郊外の田舎に住んでいる。一応、国道と鉄道は市内に走っているけど、街の中にある住宅のほとんどが一戸建て。おまけに、ところどころに空き地とか雑木林まである。  さすがに駅前にまで行けば、マンションや商店街があるけれど、商店街の人通りはまばらで、少しずつシャッター街に近づこうとしていた。人の出入りがあるのはスーパーマーケットくらいかな。  代わりに人通りが多いのが、郊外にある大きなショッピングモール。通りの激しい国道の側に作られただけあって、休日や祭日になると、大きな駐車場が車で埋め尽くされてしまうほどだ。  私たちの向かう学校はと言えば、そのショッピングモールと駅前のちょうど間くらいにある。  立派なグラウンドと3階建ての広々とした校舎。お父さんたちが子供の頃は、1学年7・8クラスあるのが当たり前だったみたいだけど、今では3年生が3クラス、2年生と私たち1年生は2クラスしかない。  使うことのなくなった教室は、部活動の部室や特別教室として使われているけど、その部活動も部員や顧問の先生を確保できなくて、毎年少しずつ数を減らしている。
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