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「モー太、センコーに帰ったと言っとけ」
「…え? う、うん…」
高野君の目が点になっている。そのぬっと大きな巨体が困り顔で立ち尽くしている光景は、まるで大きな牛が途方にくれているかのようだった。
ミノリは苦笑いを浮かべながら言った。
「こりゃ放課後に、先生からメールが届くね」
うちの学校では、生徒が問題を起こしたときには大抵の場合、先生から保護者宛てにメールが届いでいる。今回のお知らせは服装に関して…かな。
授業が進み、昼休みがやってくると私はミノリと食事をした。今日はコッペパンにナポリタンという給食の定番メニュー。ミノリはサラダを食べながら言った。
「ところで祐奈…部活、どこにするの?」
ああ、そういえばそろそろ仮入部の用紙。出さないといけない。文学部があれば迷わず行くんだけど、うちに文学部は…
『たしか、あったよね?』
そう聞き返すと、ミノリは腕を組んで考え込んでしまった。
「文芸部ならあるけど…」
ミノリは一呼吸おいて言った。
「まあ、顧問の先生に聞いてみた方がいいかな。確か、石田先生」
そう言われると何だか不安になる。職員室か…気が進まないなぁ。
放課後になると、私は国語担当の石田先生を訪ねた。とはいっても、私は人見知りする性格なので、職員室の前まではミノリについてきてもらった。
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