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ミノリは頷いた。彼女が手を差し伸べてくれるのはここまでみたい。職員室のドアを見ると、それはまるで鋼の門のようにがっしりと、そして重々しいものに見えた。大丈夫。ミノリだっているし…
ドアを引くと、ゆっくりと中が見えた。
ああ、先生が何人もいた。今となっては、1学年2~3クラスしかない小さな学校だけど、先生の中には名前を知らない人もいる。
呆然と職員室を見回していると聞き覚えのある声が聞こえた。
「あら、本田さんに秋林さん」
『あの…』
私はそう言いながら上目遣いになっていた。ミノリとはある程度話せるのだけど、どうしても話慣れていない相手だと、言い淀んだり、しどろもどろになってしまう。
石田先生はにっこりと笑った。
「どうしたの?」
ああ、まだうら若い先生が笑うと、まるで保健室の先生が笑ったかのように安心する。おかげで少しだけ肩の力が抜けた。
『あの、文芸部に、仮入部…したいんですけど…』
石田先生はきょとんとしたまま、私を眺めていた。
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