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それにしても、カッコいい人だったなと思う。
海外ドラマで観るエリート弁護士みたいな見た目だった。
すらりと背が高くて男性的な魅力に溢れているが、決して押しつけがましい雰囲気はなかった。肩幅が広く、手脚も長くて、モデルのようなスタイルをしていた。恥ずかしくてあまり顔は見れなかったけれど、綺麗な二重の目と高い鼻は印象に残っている。低い声は甘く響いて、嗅いだことのないようないい匂いがした。
香水なのだろうか。
男性がそういうものをつける嗜みを知らない周にとってはドキドキするものだった。よく分からないけど異国の匂いがしたのだ。
きっと凄くいい大学を出て、お金持ちで頭のいい人なんだろう。スーツも高そうだったし、話し方に品があった。そして、笑顔が優しかった。
村上も優しいけれど、それとは違う不思議な優しさだった。
大神は周にとっては初めて会う種類の人だった。
気になって名刺を取り出してみる。書かれた文字を読むと〝菱沼証券 グローバルマーケット部門 統括部長〟とある。一体、なんの仕事をしているのだろう。これだけでは何をしているのかさっぱり分からない。
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