2002人が本棚に入れています
本棚に追加
/68ページ
今度、会った時に訊いてみよう。
そう思ってドキリとする。
また会えるのだろうか。そして、自分と話をしてくれるのだろうか。
よくよく考えたら年齢も立場も何もかもが違う。向こうは有名な証券会社に勤めるエリートサラリーマンで、こっちはただのコンビニ店員だ。歳だってきっと十歳以上は離れている。その上、自分は退行性記憶障害という問題を抱えていた。
でも――
また話し掛けてくれるような気がした。
今日は散々な一日だったけど、いいこともあった。
――大神波さんか……。
また話せるといいな。
周は名刺を胸に抱いて、ゆっくりと目を閉じた。
最初のコメントを投稿しよう!