15人が本棚に入れています
本棚に追加
少女の持つ紙飛行機を見て、少年はキキにお願いをします。
「キキ、あとで雲の綿菓子あげるから、あのこの飛ばす紙飛行機をここまで運んで!」
雲の綿菓子に目がないキキは嬉しさのあまり、「わかったよ!」と言わんばかりに少年にまとわりつきました。
少年はキキにかまうことなく、『とばして』と雲の文字を書きました。
少女はそれを見ると目を細めて笑顔を作り、「うん!」と心の中で大きな声をあげて頷きました。
それを見て少年もはじける笑顔で頷きました。
少女は右手をゆっくりと振りかぶり、押し出すように空へと紙飛行機を投げました。とどけ! ジュークくんへ!
放たれた紙飛行機は勢い良く飛び出したかに見えましたが、二、三メートル程で地面に向けて急降下を始めました。
「ああっ!」無音の叫びが少女の口を出ます。
「いって! キキ!」
少年の命令で、ゴオオッとうなりをあげてキキが吹き走ります。
紙飛行機は今にも地面に墜落しそうです。
少女は口を両手で押さえます。飛び出してしまいそうな不安と恐怖を押さえつけるように。
きっとジュークくんがなんとかしてくれる!
瞬間、風が少女の顔を優しく撫でつけました。
すると、地面すれすれの紙飛行機がふわりと空に向かって浮かびあがりました。
最初のコメントを投稿しよう!