贈り物

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俺が答えると父親は「ご名答っ!」と地下室いっぱいに叫んだ。 「1年に1回の食事、探して捕まえ、調理する。そして娘の命日当日に食べる。それを野球部部員12人にした。長かった。1年に1人だから12年もかかった。でも、そんな事を続けていれば流石に気付くだろう。でも世間では………だぁれも気付いてない。何故だと思う?」 父親はそう言って振り向き、息子の方を見た。 「やぁっと俺の出番か」 息子はこの時を待ってたからの様に前に出た。 「こいつの快楽は人を困らせること。人のスマホをハッキングして、ありもしない手紙を送り付け、仲間割れをさせるのが趣味なんだ。そうやって、1人ずつ仲間割れをさせて孤立させていき、周りの友達をいなくしていく。そうすれば例え気付いたとしても、通報なんてしないさ」 父親は悠々と語っていたが、途端に顔をしかめた。 「ただ死体をどうするかには迷った。死体さえあがらなければ殺人事件は起きないし、警察もマスコミも動かない。埋めるか溶かすか色々考えたが、妻が天才的発想を思いついた」 そう言うと、母親が父親の隣まで歩いてきた。
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