贈り物

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俺は知らぬ間に生徒達を食べてた。 美味しくて美味しくて、お中元が来るのをとても楽しみにしていたあのサーロインステーキは生徒達の肉だったのだ。 思い出すだけで、吐き気と涙が同時に押し寄せてきた。 先に流れたのは涙の方だった。 それを待ってたかのように、4人家族は一斉にスマホを手に取り、写真を撮った。 「ハハハハハッ!いいねッ!!いいねッ!!この顔を待ってたよ。ハハハハハッ!!」 地下室中に湧き上がる4人家族の笑い声。 「いやでも、お前からの感謝の手紙には流石に焦ったよ。妻がわざと下手くそに手紙を偽装してくれたお陰でバレずにすんだが」 「本当、手紙の返事には苦労したわ。でも良かった。食材(生徒)の中に秀才がいなくて。いたら、計画全体が破綻しちゃうもの。あんたが気付かなかったのを見ると、あいつらは本当に単細胞丸出しの食材だったって事ね」 俺は悔しくて涙を流しながら、奴らに一矢報いてやろうと暴れ回った。 だが結局、椅子ごと転がり落ちるだけで、無様な姿をこの家族に見せびらかしただけだった。 「さぁて、12年の最後の集大成と行こうか。息子よ。臓器を全て取り出せ。俺が腕によりをかけた最っ高のフルコースを作ってやるよ」 そう言って、父親は俺の肥大した腹を掴むと、 「これなら良いステーキが作れそうだ」 と言い残して、次男を連れて地下室から去っていった。 残ったのはメスを握りしめてる長男と、スケッチブック片手に持って近くに座る母親。  そして、これから食材となる俺のみであった。 「ハッ、ハハハ……ハハハハ………ハハハハハハハハハハハハハ」 身体を切られてる際、俺は決してこいつらに叫ぶ姿を見せまいと笑ってみせた。 だが、切られる痛さは想像を絶し、今にも悲鳴を上げようとした。 しかしそれでも悲鳴を堪え、無念の涙を流しながら、力のない笑い声をあげ続けた。
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