始業式

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教室にいるのも飽きたので校内を散策してみることにした。なにか面白いものはないかと当たりを見回しながら歩いた。体育館に続く渡り廊下を歩いていると体育館の入口を覗いている子がいた。 「なにしとるん?」 俺が声をかけるとびくっと肩を上げながらこちらに振り向いた。 「あの……中に入りたいのですがなんと言って入れば…」 語尾に向けて声がだんだん小さくなっていく。その子の胸元を見るとお花の飾りが着いていた。 「あーもしかして新入生?」 「はい…寝坊してしまって…」 仕方がないなと俺も彼がしていたように体育館の入口から中を覗いた。すると、反対側の扉に見覚えのある先生がいた。俺は、反対側に行き入口を少し開け先生に声をかけた。 「あの、すんません。」 「おぉ…伊月か。どうした?」 「反対側の入口に遅刻してきた新入生がおるんやけど…」 「なに!?」 先生は周りに気づかれないように気をつけながら素早く新入生がいる方の入口に向かってくれた。 少しすると先生と静かに体育館の中に入っていったので上手くいったようだ。良かった。しかし、初日から遅刻とは面白い子だな。外から入学式に耳を傾けた後、俺は教室に戻った。
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