始業式

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教室に戻りしばらくすると、優が入ってきた。 「待たせて悪い。帰ろう」 「思ってたより早かったな〜」 「挨拶が終わってすぐ抜けてきたからな」 「それって大丈夫なん?」 「大丈夫だ。お前を待たせるわけには行かないからな」 自分の鞄を肩にかけ優と共に教室をでた。下駄箱で靴をはきかえ、桜吹雪が舞う朝とおなじ通学路を歩いていった。 「桜綺麗やな〜」 そう俺が言うと肯定の返事が優から返ってきたのだが優は明らかに桜ではなく俺を見ていた。 「いや。俺見とらんと桜見てほしいんやけど」 優の目線がずっと俺の頭にあるのに気づき俺は手で頭を触った。何か髪とは違うものの感触があり取って目の前にもってくるとそれは桜の花びらだった。 「似合っていたのに」 「いやいや。気づいてたのなら取ってや」 「可愛かったぞ」 「俺は言われるなら可愛いよりかっこいいがええな」 すると、いきなり優は俺のことを抱き寄せた。 「俺にとっておまえは誰よりも可愛い」 優の低い声が耳もとで響き渡った。俺の顔に熱がこもっていくのが分かり慌てて手で優の顔を覆った。 「見えん」 「うるさい!こっち見んなや!」 俺は優から離れて先を歩きだした。恐らく真っ赤になってるであろう顔を隠しながら。
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