ウィスキーボンボン

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 程なくしてインターフォンのスピーカーから、「は~い!」という声がしたので卓生君はインターフォンに向かって、「ママ!慶太が来たから準備しててね!」と頼んでおいた。そして慶太に向き直り、「さあ、入って!」と促し、如何にも頑丈そうで重量感のある鉄製のブリティッシュな黒い門扉を開けた。すると慶太は色鮮やかな赤煉瓦が敷き詰められたアプローチが光沢の有るタソスホワイトの大理石で拵えられた玄関ポーチに通じているのが真っ先に目に入って来た。それからアプローチを歩き出すと、花々の馥郁たる香りと共に東西に色彩豊かな庭園が広がっているのが視界に入って来て、「うわあ、綺麗だあ・・・」と詠嘆の声を漏らしながら、ぐるりと左右を見回した。
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