忘れられない手紙

11/16
前へ
/16ページ
次へ
ドアが開き、男が歩み寄ってきた。 ライトの中に輝夫がいた。真理は、「助けて! 助けて! 」と 大声で叫んだ。 輝夫は緊迫した空気に触れ、表情が険しくなり身体が硬く なった。背中を向けていた男が振り返った。 ジープの所有者の男は、忘れかけていた桜田だった。 桜田は輝夫を思い出したらしく、 「なんだ、また邪魔するのか! と怒鳴った。 それを聞いて輝夫の同僚が心配そうにトラックから出て きた。 輝夫は土木建設会社に勤めており、今日は森林公園で仕事を していた。これから会社に帰るところだ。 「まだ真理さんに付きまとっているのか! 彼女はあんたを 恐がってるんだ。話なんてできるわけがないだろう」 輝夫は、面と向かって言った。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加