忘れられない手紙

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真理は日本人ばなれした彫りの深い顔をしており、欧米の血が 混ざっているのではないかと思えた。 ある土曜の夜。 男が大声で、「おい、開けろ、早く開けろ❗話があるんだ」 と言っていた。 輝夫は何事だろうと部屋を出た。 男が真理の部屋の前で、ドアをにらみつけながら怒鳴って いた。 桜田である。 真理は嫌がっているのだろう。何も答えておらず、それが 余計に桜田を怒らせていた。 アパートの2階の住民も顔を出した。 下の様子を見て、バタンとドアを閉めてしまった。関わり たくないのだろう。 輝夫だって興奮している桜田と関わりあって、万が一怪我 でもしたら困る。 そう思った。 しかし、あのキレイな真理を見捨てるようなことはできない。 まして、妹、さおりの友人である。
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