忘れられない手紙

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輝夫は、恐がっているのを隠して桜田の方へ歩み寄って行った。 近寄って来た輝夫をにらみつけて、「なんだよ、こっちに来る なよ」と桜田が言った。 輝夫は桜田の体格を見て、喧嘩したらどうなるだろうと考え ていた。五分五分ぐらいかな、と思った。エエイッ、どうなって もかまわない、……。 「うるさいんだよ。……帰れよ!」 輝夫は、目を三角にして怒鳴った。興奮で身体が小刻みに 震えた。 「うるさいのは、おまえだろ! 関係ない奴は消えろ! 」 「警察に連絡するけど、いいのか」 輝夫は、やや落ち着きを取り戻して言った。 「警察? ……なんでだよ」 桜田は、警察の言葉に反応して、ぐぐっと輝夫に近づき 右の拳を頭上に振り上げた。 ヤバい。 輝夫は左腕で頭上をブロックして桜田のパンチを防ごう とした。
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