忘れられない手紙

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真理は、桜田のことを工場の上司に話そうか、それとも 黙っていようか、どっちにするか迷った。 結局、月曜日、製造部の上司に桜田のことを話した。それから 桜田は、真理を無視するようになった。 きっと上司が桜田に話してくれたのだ。 そして一ヶ月後、急に桜田は工場を辞めてしまった。退職の 理由は、大阪の会社に転職するためというものだった。 真理は安堵した。びくびくして工場に行っていたから、愁い がなくなった。アパートに帰ると、親身になって心配して くれた輝夫にそのことを報告した。 輝夫は、自分のことのように喜んでくれた。 輝夫の笑顔を見て、真理も嬉しかった。そして、いい人 だなあと改めて思った。
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