忘れられない手紙

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それから一年ぐらい経った。 輝夫も真理も桜田のことを忘れてしまった。 真理は仕事が終わり、いつものように自動車で帰路についた。 ルート53号線を走っていると後ろから黒いジープが追いかけて きた。 真理はバックミラーとドアミラーを繰り返し眺めて、ジープ の動きに注意した。 道路は片側二車線で、ジープは真理の車に追いつくと横に 並んで走り出した。 ウインドウ越しにジープの運転手を見ると桜田だった。辺りは 暗くなり、ヘッドライトを点けて走っているが、外灯の明かり で桜田だと分かった。 真理は恐怖で身体が硬直してしまった。頭はパニックになり 何もできなくなった。 ジープは真理の車に寄せてきた。車と車が接触するんじゃない かと思われた。速度は60キロ位であった。 前方に左折する道があった。右側からジープがどんどん幅寄せ してきた。このままでは接触事故を起こしてしまう。
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