忘れられない手紙

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真理は車を左に向け、ルート53号を外れた。狭い道になり、片側一車線 になった。外灯の数が少なくなり、車の通行量も少ない。 桜田が運転するジープが、ぴったりと後ろについて走って いた。対向車は認められない。標識には「森林公園」へ 続く道となっていた。 ジープは急に速度をあげた。一瞬にして真理の車を抜き、 どんどん走って行く。 真理は、ぼんやり眺めているばかりで、なにをどうしたら いいか、さっぱりわからない。 ジープは、ブレーキをかけた。 真理は咄嗟にブレーキを踏んだ。 ぶつかる❗  真理はこれで人生が終わったと思った。 ブレーキランプの赤が夜の闇に鮮やかであった。ジープ までの距離は、どれぐらいあるだろう。 真理の車は、幸いにもジープにぶつかることなく停車した。 ジープは、真理の車が走れないように斜めに停まっていた。
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