忘れられない手紙

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「桜田、桜田」と大臣の名前が、マスコミをにぎわせた。 桜田大臣が問題発言を繰り返したためである。 輝夫は、それを耳にして「桜田」という同じ名前の男を 思い出した。その男は、妻、真理を追いかけ回し、怖がらせた。 真理と同じ食品工場で、機械の保守-点検業務を行っていた。 中肉中背で当時25歳位だった。 生真面目な印象だが、何か思いつめた表情をしている。 20年経った今、桜田がどんな風になったか皆目見当がつかない。 輝夫の妹、さおりと真理は同じ中学校に通っていて年齢も同じ だった。さおりが輝夫のアパートへ来た時、真理と駐車場で顔 を合わせ、あいさつして話をするようになった。 真理は、中学校でも1、2を争う美人であったから、さおりは すぐに分かった。
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