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「5点で、723円になります」
「…」
さっきから、このひと固まってる。しかも私を見つめながら。
どうしよう、すごくやりづらい。
「おにぎり、あたためますか?」
「あの…好きなんですけど」
「…………へ?」
今、空耳が聞こえたような。
えっと…聞き間違い?
「あ、おにぎりは冷たいままでお願いします」
「あ、はい……」
何事もなかったかのように続けてくるから、きっと空耳だろう。
なんてもの聞こえるんだ……私。
さすがに、連日コンビニで深夜バイトはキツかったのかな。睡眠時間欲しい。
「今日は何時に終わりますか?仕事」
「……このまま、日付が変わったあとの2時までですけど…」
「じゃあ、待ってますね」
「……はい…………?」
どうやら、空耳ではなかったっぽい。
変な人…とかではないよね……?
いや、もうすでに充分変な人だ……。
見ず知らずの女子高生のコンビニバイトに、深夜11時に告白するところとか。
悪い人には見えないんだけどなあ。
でも、そういう人に限って悪い人だったりするからなあ。
やっぱり、警戒心を持つに越したことはない!
もし、本気で好きとか言ってて、本気で待ってる、とかだったら申し訳ないけど。
噓かもしれないけど、本当に待っててくれたら、この寒い中待たせるのは悪いから、ちょっとだけ確認してみようかな。
……本当に待ってたら、3時間待たせることになるし。
そんなことを思いながら、もう一度彼の表情を思い浮かべた。
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