3.大文字山登山

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 女性たちが出て行った後も、絶え間なく客が入り、この日は1日中、私と颯手さんは忙しく立ち働いた。  そして、閉店間際になり、 「ありがとうございました」 最後の客が出て行った後、入れ替わる様に、誉さんがやって来た。 「あっ、誉さん」  「今日は珍しく閑古鳥じゃなかったんだな」  出て行った客と外ですれ違ったのだろう、意外そうに言った誉さんに、 「そうなんですよ、今日はたくさんお客さんが来て、忙しかったんです」 私は満面の笑みで報告した。 「ふうん……」  誉さんは考え込むように顎に触れた後、レジカウンターにいた颯手さんの方を向き、 「颯手、さては、呪言を使ったな」 ズバッと真相をついた。 「さすが、お見通しやなぁ。そうやで」  颯手さんは、涼しい顔で笑って頷く。 「あんまり術に頼るなよ。歯止めが利かなくなるぞ」  じろりと睨んだ誉さんに、 「分かってるて。でもこの店、今、赤字続きやねん。だからしばらくは勘弁して。この店が無くなったら、誉はどこでコーヒ飲むん?」 颯手さんは肩をすくめてみせる。 「確かに、颯手のコーヒーが飲めなくなるのは困るな」  そう言うと、誉さんはそれ以上は何も言わず、手近な椅子を引いて腰を下ろした。 「いつものやつ」 「はいはい」
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