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誉さんは短くなったタバコを携帯灰皿に押し付けると、手すりから身を起こし、立てかけてあった松葉杖を手に取った。肩を落として部屋に戻って行く誉さんの背中を見て、
「あ、あのっ!ひとりでご飯とか、大丈夫ですか?」
私は思わず、そう声を掛けていた。
「ん?」
誉さんが怪訝そうに振り返る。
「私、作りますよ」
「別に、適当に食うから、ひとりで問題はないが……」
「いいえっ」
私は、日ごろの恩義をここで返す時、とばかりに誉さんに詰め寄ると、
「作らせてくださいっ」
と迫り、
「あ、ああ……そんなに言うなら、頼む」
無理矢理、誉さんに頷かせた。
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