4.護王神社の狛いのしし

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 急いで自室に戻り、冷蔵庫を漁る。 「……大した食材がない」  メインになりそうなものは、豚バラの薄切り肉ぐらいだ。スーパーに行こうかと思ったが、誉さんを待たせても悪いと思い、私は使えそうな食材を袋に入れると、急いで誉さんの部屋に向かった。 「誉さん、何か嫌いな食べ物ありますか?」  キッチンで袋から食材を取り出しながら、念のため聞いてみると、誉さんから「特にない」との返事が返ってくる。 「すぐ作るので、待っていてくださいね」 「ああ」  私はエプロンを付け袖をまくると、まずは米を研ぎ、炊飯器に早炊きでセットした。  米を炊く間に、キャベツと青シソを細切りにし、豚バラ肉でくるくると巻く。それを耐熱の皿に並べ、ふんわりとラップをかけると、電子レンジに入れ、スイッチを押した。肉に火を通す間に梅干しを叩き、ポン酢と混ぜてタレを準備する。  今度は小鍋に湯を沸かし、出汁パックを放り込み出汁を取ると、輪切りにしたオクラと味噌を入れ、味噌汁を作った。  味噌汁を準備した後、手早く胡瓜と人参をスティック状に切り、ガラスコップに刺す。マヨネーズと麺つゆを混ぜてディップを作ると、これで和風スティックサラダの完成だ。  今度はボウルに卵を3個と市販の白出汁を入れてときほぐす。卵焼き器を温めて流し込むと、くるくると巻いた。私は卵を巻くのが苦手なので、1周目、2周目はぐちゃぐちゃになってしまうのだが、3周目だけは気を付けて、綺麗に巻くよう心がける。別のフライパンに薄めた白出汁と明太子を入れ、とろみをつけて餡を作ると、出汁巻きの上にかけてネギを散らした。  卵が焼けたところで、ちょうど電子レンジが止まった。熱々の皿を取り出すと、ラップを外し、タレを回しかける。  出来上がったおかずを、誉さんが待つ和室のローテーブルに運んでいると、炊飯器がピーッと音を立てた。お米も炊きあがったようだ。ご飯をお茶碗によそい、これもまたローテーブルに持って行く。
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