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閉店間際の『Cafe Path』。最後の客は今日も誉さんだった。
最近の『Cafe Path』は、日中、以前の閑古鳥状態だった頃が懐かしく思えるほど、客が入るようになっている。こうして店でゆっくりと3人で話が出来るのは、閉店前のこの時間だけになっていた。
コーヒーを飲んでいた誉さんに、
「誉、ようやっとギプス取れて良かったやん」
颯手さんが、明るく声を掛けた。
「やっと身軽になってせいせいしたぜ」
1ヶ月近くギプスで足を固定されていた誉さんは、ようやく解放されたことに、やれやれと肩をすくめた。
「お疲れ様でした。今度、護王神社にお礼参りに行きましょう!」
床にシート式のモップをかけていた私は、手を止めると、笑顔で誉さんに声を掛けた。すると、
「あんたにも迷惑かけたな。毎日、飯を作ってくれて助かった」
思いがけず誉さんから労いの言葉を貰い、驚いた。
「あんたの飯は美味かった」
「……!」
更なる誉め言葉に、ドキッとする。
「ま、また、いつでも作りますよ……!なんなら、これからも毎日作ります!」
思わず前のめりに提案すると、
「愛莉さん、外に『Close』の札、出して来てくれへん?あと、少し落ち葉落ちてるみたいやから、掃いといてくれると嬉しいわ」
颯手さんが微笑を浮かべながら、私と誉さんの会話を遮った。
「あっ、は、はいっ。分かりました」
突然の指示に吃驚して、慌てて返事をする。
私はモップをしまい、箒と塵取りを取ってくると、「Close」の札を手に扉の外に出た。
そして――。
◇
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