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そして翌朝、午前4時半。
私はアパートの下で颯手さんを待っていた。動きやすい服装で、と言われたので、ゆったりめのデニムにTシャツ、朝で肌寒いので、カーディガンを羽織っている。
「朝の散歩にしては、時間が早いなぁ……」
少し眠い。あくびをかみ殺し、まだ薄明るい程度の空を見上げながら颯手さんを待っていると、
「お待たせ」
私と同じように、デニムにTシャツ姿の颯手さんがやって来た。彼はカーディガンではなくシャツを羽織っている。背中にはリュックが背負われていた。
「おはよう、愛莉さん。ほな、行こか」
颯手さんは私に軽く挨拶をすると、先に立って歩き出した。
鹿ヶ谷通を進み、銀閣寺橋を渡ると、銀閣寺の方へ坂を上っていく。
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