3.大文字山登山

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 私が颯手さんと早朝の大文字山登山を始めてから数日が経った。  最初こそ時間もかかり疲労も感じていたが、今では30分程で登れるまでになっていた。慣れとはすごいものだ。  今日も登山を済ませた私は、一旦家に戻り、朝食を取ったりシャワーを浴びたりした後、10時半に『Cafe Path』に出勤した。 「おはようございます」  既に登山の時に挨拶は交わしているのだが、もう一度朝の挨拶をして店に入ると、颯手さんはレジにお金を入れているところだった。 「颯手さん、今朝もありがとうございました。今日は我ながら、早く登れたと思います。何事も継続は力なりですね」  心なしか体力が付き、体重も減って来たような気がする。朝の目覚めも良くなった。登山を始めてからいいことずくめだ。その代わり、夜は早い時間に眠くなってしまうので、夜ドラマなどは見れなくなってしまった。  颯手さんはレジを閉め、顔を上げると、私を見て微笑んだ。 「大文字山登山が、愛莉さんのええ運動になってるんなら嬉しいわ」 「はい!とってもいい運動になっています」  会話は短く切り上げ、すぐに開店準備に入る。
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