ためいき、三度

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 ガタンゴトン、ガタンゴトン。    そして迎えた月曜日。  いつも通りの朝を迎えた彼女は、心臓が今にも口から飛び出るのではないか、いや、口からと言わず、自分の薄い胸を突き破って飛び出てきてしまうのではないか、という程に緊張していた。    いつもの座席に座り、いつものように化学ⅡBの教科書を出す。  かと思いきや、一度は出した教科書を再び鞄に仕舞うと、次に取り出したのは物理の資料集。  教科書より一回り大きい資料集を開いて、顔を隠すように前に持ち、はぁぁぁ、と彼女は大きくため息を吐いた。    結局、週末に男性からの連絡が来ることは(つい)ぞなかった。  見慣れた友人からのLINEの通知のみが並ぶ携帯の画面を穴が開くほど眺め続けたせいか、少し目がしょぼしょぼしている。    きっと今日、あの男性がこの車両に乗ってくることはないだろう。  簡単なことだ。  たったそれだけで、男性と彼女を繋いでいた縁はなくなってしまう。 そもそも最初から、『縁』などなかった。 ただ毎日同じ車両に乗っていた。それだけなのである。    もう会うこともないのかもしれない。  諦めかけると、目元にじんわりと涙が溜まった。  諦めなきゃ、なぁ……。    一筋の涙とともに、彼への想いが開いたままの資料集へと落ちる。 カラーの資料集は涙を受け止めてはくれない。弾かれた雫は無情に(ページ)の上を滑り落ちていった。
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