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神よ…私の人生は貴方様のもの…。親もいない兄弟もいない私を救ってくださった、貴方様に一生仕えます。
「…朝ですか。」
男ではあるが、長い、美しい髪を三つ編みにし、白と黒の服を着た。十字架の首飾りを首にぶら下げて、お祈りをする。
「神よ…。」
ここまでが、いつも通りだった。銃声が聞こえるまでは。
バンバンッッ…!!
銃声と暴言が外で聞こえる…。なんだろうか?すると、勢い良く、教会の扉が開く。
「くそっ…アイツら攻めてきやがった…!ボスは大丈夫か?!」
マフィア…という者たちだろうか…?なんでもいいが、神を怒らせないで欲しい。
「レオン様…!片付きました…!数人を逃がしてしまいましたが…。」
「ああ…良くやった。死傷者多くなくて良かったな。」
外はどうなっているのだろう。掃除しなくては…。私は立ち上がると、外に向かい歩き始めた。
「…!おいっ!女がいるぞ…!?」
…私の事だろうか。この見た目のせいか、女性に見間違われる。不意に腕を掴まれた。
「おい…お前、どこのもんだ。」
「…私は、シスターをやっております。」
「…!お前、男かッ!?」
これはよくある反応。なにも気にする余地が無かった。
「はい。外を片付けたいので、腕をはなしていただけませんか。」
「おいおい…マジかよ…。」
ようやく手を離したので、外の片付けを始めた。死体が五体転がっている。まず、死体を片付けよう。
グチャグチャ バキッグチュッ…
次々に解体していく中、まだ息がある者がいた。
「た、助けて…くれ…お、お願いだッ…か、金ならいくらでもある…。そ、そうだ!お前を嫁に迎えてもいい!養えるぞッッ!」
「…アナタは何人殺めましたか?」
「あ、あぁ。20人程度だよ…!それより…早く!」
あぁ…なんて可哀想な人だろう。人を殺めた分際で私に命乞いするなんて…。しかし…苦しそうだ。早く楽にしなくては。
「分かりました。楽にしてあげますね。」
「は…?」
そう言い、男の頭に、十字架に忍ばせていた針を刺した。大丈夫です。神があなたをお許しになる事を願います。
「あなたに神の御加護を…。」
男は叫ぶこと無く動かなくなった。さあ、また片付けよう。
数時間後、だいぶ綺麗になった。今日はここまでにしよう。
「おいおい…随分綺麗になったな〜。お前さんの服が、血まみれだぜ?意外と慈悲が無いんだな、シスターとやらなのに。」
「慈悲とは分かりません。ただ、神に従うだけ。間違っている事は神が私を止めるので。」
「…お前、気に入ったわ。おい!お前ら!この、シスターをボスへの手土産にする!運べ!」
男は、数人に呼びかけ、私を車に入れた。これもまた、神のお導きだろう。
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