危機

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「確かに、椎名の言うとおり荒事になりそうだ」  好戦的な表情になる水無月に、翔平が苦笑する。頼りにはなるが、暴れるだけ暴れて、後の処理は丸投げされることがわかっている。しかし、今日ばかりはそれも仕方がない。 「今日だけは進んで後始末を引き受けます。ですので、お願いします!」 「おぅ! でも、お前もちったぁマシに立ち回れよ、椎名」  頼もしい味方を引き連れ、慧は店のドアに手をかける。 「それじゃ行きますよ。いざ、戦場へ」  言葉は一言も発していないが、慧の肩ではオウルが気合を入れていた。  準備中と書かれたプレートを無視し、慧は扉を引く。すると、簡単に開いた。  鍵をかけていないというのは、よほどの自信の表れか。かけていても無駄だとわかっているのか。どちらにしても、無理やり扉をこじ開ける手間が省けて助かる。  慧、オウル、翔平、水無月の四人は、仄暗い店内にゆっくりと足を踏み入れて行った。
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