698人が本棚に入れています
本棚に追加
「確かに、椎名の言うとおり荒事になりそうだ」
好戦的な表情になる水無月に、翔平が苦笑する。頼りにはなるが、暴れるだけ暴れて、後の処理は丸投げされることがわかっている。しかし、今日ばかりはそれも仕方がない。
「今日だけは進んで後始末を引き受けます。ですので、お願いします!」
「おぅ! でも、お前もちったぁマシに立ち回れよ、椎名」
頼もしい味方を引き連れ、慧は店のドアに手をかける。
「それじゃ行きますよ。いざ、戦場へ」
言葉は一言も発していないが、慧の肩ではオウルが気合を入れていた。
準備中と書かれたプレートを無視し、慧は扉を引く。すると、簡単に開いた。
鍵をかけていないというのは、よほどの自信の表れか。かけていても無駄だとわかっているのか。どちらにしても、無理やり扉をこじ開ける手間が省けて助かる。
慧、オウル、翔平、水無月の四人は、仄暗い店内にゆっくりと足を踏み入れて行った。
最初のコメントを投稿しよう!